「隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃む所頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった」・・・まさに名文、格調高い漢文調の文体が、才能に溢れながら強すぎる自尊心に自滅していった詩人の苦悩と悲哀を極限まで浮かび上がらせる。清朝の説話集「唐人説薈」の「人虎伝」を下敷きとした中島敦の名作。演出=水城雄。【演出・朗読者について】70代の朗読家・網野隆の名調子が格調高い文体にぴったりあって、実に味わい深い作品に仕上がりました。漢詩の力強さ、詩人の...